ライト祭に行ってきました(その2)

ライト祭の特別講演2は【戦闘機テストパイロットが語る「空の話」】
東明工業株式会社 特別顧問 渡邉吉之 様のご講演でした。

渡邉様は航空自衛隊での戦闘機パイロットとしてのご経験や重工メーカでのテストパイロットとしてのご経験が長く、

その軽妙な語り口からユーモアたっぷりに、戦闘機乗りの世界をお話頂きました。

 

戦闘機のパイロットというのはプラス9Gからマイナス3Gの過酷な重力環境、

マッハ2.5の超音速飛行やほぼ真空となる成層圏の飛行など、一瞬の判断ミスも許されない緊張感の続く任務の連続となります。

このような状況は生身の人間が晒される極限環境の一つといってよいと思いますが、

マン-マシンインターフェースを設計する上で航空機の教科書や資料からは決して知ることのできない、

操縦者目線の貴重なご意見やナマの体験をたくさん聴くことができました。

特に肉体や精神に非常な(非情な?)負担がかかる状況下での機器の操縦性についてのご意見は、

航空宇宙機器設計者のはしくれである自分にとって身につまされるお話が沢山ありました。

 

ユーザビリティを考えて設計せよとはソフトウェアなどではよく言われることですが、

機器の使いにくさや錯誤によって使用者が危険に晒されるような事態が想定される機器については、

設計者は今一度自分の胸に手を当てて「ユーザビリティ」を真摯に追求するべきなんだと思います。

 

「戦闘機に関してほとんどの設計者は自分の設計したモノの完成品を実際に見ることもなく、ましてや実際に触れたり乗って操縦することなんてほぼない。。」

 

確かにそうですよね。だからなおさら使う人の身になって設計することは本当に本当に大事なことなんだと思いました。

渡邉様は著書も出版されていますのでご興味のある方はご一読されてみることをお勧め致します。

 

著者 渡邉吉之:「戦闘機パイロットの世界:元F-2テストパイロットが語る戦闘機論」,パンダパブリッシング,(2017)

写真はF2戦闘機(ライト祭とは関係ありません)