ヘリコプター×飛行機(その1)

突然ですが、みなさんはヘリコプター(回転翼機)と飛行機(固定翼機)のどちらが好きですか?

ヘリコプターと飛行機ではまず見た目がかなり異なっています。

一般的なヘリコプターには胴体上方に大きな回転翼(メインローター)と後方に小さな回転翼(テールローター)がついています。これらが回転して揚力を得ることで機体の運動や姿勢を制御します。なお、後部のテールローターはメインローターにより生じる回転トルクを打ち消したり、機首の向きを変えるのに使います。各ローターの一枚一枚の翼は刀のような形をしており、ブレードと呼ばれます。ブレードはピッチ方向に角度を変えることができます。これによりローター軸方向の推力の大きさを増減できます(コレクティブピッチ)。さらに、メインローターは1回転の位相ごとにピッチ角度を変化させることで推力の方向も変えることができます(サイクリックピッチ)。これによりヘリコプターは機体の上昇下降のみならず前後左右への移動や機体の姿勢制御などもローターのみでほぼ全て制御しています。ヘリの長所は何といっても垂直に離着陸でき、離着陸にも場所を取らないことと、空間の一点でほぼ静止できるホバリング飛行ができること。上下前後左右と機動的に小回りができ、低速でゆっくりと飛行できること。短所は飛行機に比べ飛行距離や高度、速度、ペイロードに制約があることでしょうか。

ヘリコプターの例(EC135)

これに対して、一般的な飛行機には長い胴体に大きな主翼と小さな尾翼がついており、機体の胴体前後や主翼にプロペラやジェットエンジンなどがついています。プロペラやジェットエンジンの推力は主に機体を前方向に加速しますが、これにより機体が空気との相対速度を得ることで主翼や尾翼に揚力や抗力を生じさせます。飛行機の上下左右の移動や姿勢の制御は主に主翼や尾翼に取り付けられた、エルロン、エレベータ、ラダーなどの操舵装置で行います。これに加え離着陸時にはフラップ、スラット、スポイラー、エアブレーキなどの高揚力装置や減速装置も駆使して機体の動きをコントロールします。飛行機の長所は長距離飛行や音速以上での高速飛行が可能なこと。成層圏などの高高度飛行が可能なこと。短所は離着陸のための広大な敷地が必要、垂直移動ができない、横移動や後進(バック)ができない、低速では飛行できない、などでしょうか。

飛行機の例YS-11

それぞれに長所短所があり航空機好きの中でも好みが分かれるかもしれません。このようにヘリコプターと飛行機は性能や特徴において甲乙つけがたく、航空機の利用者は用途に応じて長所が生かせる(短所が許容できる)方を選択することになります。ところが、両者のいいとこどりをしたいのが人間というものです。ヘリコプターのように滑走路が不要で垂直離着陸やホバリングができ、かつ飛行機のように長距離を燃費よく高速で飛行できる航空機はないものでしょうか。

(その2)へつづく。。